SUVが大好きなのに乗ってる車はステーションワゴン。。。 1988年5月に登場したエスクードは、実に30年以上の歴史を持つ。もともと、スズキの日本市場におけるSUVは、軽自動車規格の「ジムニー」と、ジムニーの全幅を拡大して1.3Lエンジンを搭載した「ジムニーワイド」しかラインアップされていなかった。, もう少し細かく言えば、当時はまだSUVという言葉そのものが日本では定着しておらず、いわゆるクロカン(クロスカントリー)というモデルとして認識されていた。いっぽう、このクロカン自体も当時は大排気量のモデルがほとんどで、いわゆる小型登録車の売れ筋である1.5L〜2Lあたりの車種はほとんど存在していなかった。, その隙間をついて市場に投入されたのが、初代「エスクード」だ。ジムニーや他社のクロカンと同様、悪路走破性にすぐれたラダーフレーム構造を持ちながら、都市部などでの取り回しのしやすさなどが受けてヒットした。当初は3ドアモデルのみだったが、1990年9月にはホイールベースを240mm拡大した5ドアモデル「ノマド」を追加、アウトドアブームの追い風も手伝ってファミリー層も含めて支持された。, 余談だが、こんな美味しい(新しい)市場を天下のトヨタが放っておくわけがなく、1994年にはあのトヨタ「RAV4」が発表され、大ヒットモデルとなったことは当時鮮烈に覚えている(さらに余談だが、筆者は両車ともブームに乗っかって購入したクチである)。, これまでは強い提携関係にあった米ゼネラルモーターズの影響や、2代目以降はさらに世界戦略車としての立ち位置が強くなり、デザイン面でもその影響を受けてきた。同時に排気量も拡大傾向にあり、3代目では2.4L直4エンジンもラインアップされた。この2.4L直4エンジン搭載車は、4代目の登場後も「エスクード2.4」として併売されていたほどだ。, 元々インドや北米、さらに欧州でのビジネスがうまいスズキゆえ、生産効率や市場の動きを見てグローバル生産を行うのが特徴のひとつとも言える。, だから、というわけではないのかもしれないが、エスクードはハンガリーに拠点を持つ「マジャールスズキ社」で生産されている。同社は「SX4 S-CROSS」も生産しており、両車とも“輸入”という形で販売している。簡単に言ってしまうと、れっきとした輸入車なのである。, エスクードは、販売開始時は1.6L直4エンジンのみだったのだが、2017年7月には1.4L直4DOHCターボエンジン(このエンジンがまたすばらしい。詳細は後ほど)が追加された。少しの期間、2種類のエンジン(モデル)が併売されていたが、2018年10月には1.6L車はカタログから姿を消している。そして今回、試乗した2018年12月の一部改良を迎えることになる。, エスクードの全長4,175×全幅1,775×全高1,610mmというボディサイズ、さらに言えば5.2mという最小回転半径は、昨今拡大傾向にある国内のSUV市場に出回っているモデルと比較するとコンパクトで取り回し性能にすぐれている。, 特にマンションの立体駐車場などでは、入庫寸法上は余裕があっても、1,800mmを超えるとタイヤやホイールを“ゴリッ”としてしまうケースも見受けられる。その点でも、1,775mmの全幅は(ギリギリだが)好ましいサイズと言える。, スズキ「エスクード」に搭載されているエンジンそのものは、スイフトスポーツと同じ「K14C型1.4L直4DOHCターボ」だが、それぞれ出力などが異なる, 搭載するエンジンは、前述したように1.4L直4DOHCターボのK14C型。この型式を見て「ほほーっ」と思った人はやはりクルマ好きだろう。K14C型といえば、スズキ車のラインアップの中でも圧倒的なパフォーマンスを持つ「スイフトスポーツ」に搭載されるパワーユニットなのだ。, とはいえ、使用燃料がスイフトスポーツの場合「無鉛ハイオクガソリン」になるのに対して、エスクードは「無鉛レギュラーガソリン」だ。原油価格の動きは玄人でも読みづらいと言われるが、現在でもガソリンが高騰している中、リッター当たり10円以上価格が安いのはやはりおサイフにはやさしい。スズキは、過去にもインドで生産して日本へ輸入された「バレーノ」で同様の手法を用いて途中からレギュラーガソリン化しているが、これも日本市場を考えての改良だと思われる。, 一部改良とはいえ、エスクードの進化は見どころが多い。まずエクステリアでは、メッキグリルのスモーク化と同時にデザインを変更。リアコンビネーションランプのLED化、アルミホイールは従来通り17インチだが、ブラック塗装からガンメタリック塗装に変更。さらに切削加工が施されており、従来以上に足回りが締まって見えるのも特徴と言える。, スズキ「エスクード」の一部改良で追加された新色「アイスグレーイッシュブルーメタリック ブラック2トーンルーフ」, また、ボディカラーは従来ラインアップされていたターコイズカラーを廃止して、新たに「アイスグレーイッシュブルーメタリック ブラック2トーンルーフ」を追加し、6色のバリエーションから(2トーンルーフ含む)選ぶことができるようになった。, スズキ「エスクード」のメーター中央へ新たに設置された「マルチインフォメーションディスプレイ」。ドライビングモードの設定などがカラーで表示される。画像は、左が「SPORT」モードで、右が「SNOW」モード, インテリアに目を向けると、本革とスエード調の表皮を用いたシートのステッチ変更なども行われているが、目に見える部分で大きく変わったのが、メーター内に新たに設定されたカラー液晶を用いたMID(マルチインフォメーションディスプレイ)やインストルメントパネルのソフトパッド化である。, スズキ「エスクード」のインパネには、樹脂に比べて質感の高い「ソフトパッド」が新たに採用されている, 実は、このソフトパッド化というのが、今回の改良の“キモ”のひとつと感じている。改良前のインストルメントパネルは、いわゆる樹脂系の素材が採用されていた。シンプルな仕上げを好む欧州などの市場ではこれでもいいし、コスト自体も下げることができる。しかし、いくら造型がよくても、目の肥えた日本の顧客は満足しないケースも多いだろう。スズキは当然のことながら事前にマーケティングリサーチを行い、今回の改良に至っているわけだが、ソフトパッドは手触りもよく、質感の向上につながっていることは間違いない。, スズキ「エスクード」のステアリング。「チルト&テレスコピックステアリング」機能が備わり、ドライビングポジションを調整しやすい, ドアを開けてシートに腰かけてみると、視界は良好でシートのホールド性も適度にあるが、一番重要なのはチルトだけでなくテレスコピックステアリングが装備されているので、適切なドライビングポジションが取りやすい点だ。, 前述したように、搭載するパワートレーンはスイフトスポーツと同じもの。セッティングこそ違えど、一般道から高速道路までスムーズかつ、時にはスポーティーに走ることも可能だ。, 特にいいと感じたのが、トランスミッションと足回りのセッティングだ。まず、トランスミッションは電子制御の6速ATを搭載する。燃費向上(少なくともカタログ値上では)のためにはCVTのほうがベターなのかもしれないが、海外ではあまりCVTの評判はかんばしくない。理由はいろいろあるが、やはり「ダイレクト感が足りない」ということは、他の輸入車メーカーの開発者からも聞いたことがある。, (1)エンジン&トルクの違い(エスクードのほうが低い)(2)スイフトスポーツがFFなのに対し、エスクードは4WD(3)(2)の結果、車重が200kg以上重い, と、スイフトスポーツのほうがスポーティーな特性を持ち合わせている。だが、エスクードでもATのダイレクト感や標準装備のパドルシフトを活用することでキレのいい加速感を味わうことができるし、搭載されている4WD機構である「ALLGRIP(オールグリップ)」の「4モード走行切替機能」をスポーツモードにすれば、エンジン回転数を高めにキープしてくれるので、トルクが抜けるようなことも少なく、スポーティーに走ることができる。実はこれが、結構楽しいのである。, スズキ「エスクード」では、「ALLGRIPモードスイッチ」を操作することで、「AUTO」「SPORT」「SNOW」「LOCK」の4つのドライビングモードを設定することができる, さらに、足回りのセッティングも絶妙だ。エスクードのステアリングは、全体的に昨今のクルマの中では重めである。切り始めでもその重さを感じる部分はあるが、高速道路などの走行時はこのセッティングのほうが好ましい。いっぽう、操舵によるボディの動きは意外と俊敏な部類で、フロントがスッと動く。そして、何よりも足回り、特に旋回時のリアサスペンションの接地感は見事である。現実には、前述したオールグリップによる適切な駆動力配分(通常はFFで駆動)も手伝ってくれるのだが、ロールの少なさやその後のボディの揺り戻しがグラグラしにくい。, 個人的な話だが、過去欧州に取材に行った際、偶然スズキの足回りのセッティングを行うチームに遭遇したことがある。当然、向こうは企業秘密の仕事を行っているので撮影はおろか、逃げるように去って行ったが、現地で取材するととにかくスズキの欧州モデルにおけるセッティング能力は高いという。これまでも、先代スイフトのRS(特別仕様車)やその流れを継承した現行スイフトのRS系、またコンパクトハッチバックのスプラッシュ(絶版)などが好例だろう。エスクードもその点は同じで、このクラスのSUVとしてはなかなかの出来なのである。, そして、何よりもうれしいのが先進安全装備の進化だろう。従来までのミリ波レーダーによる「レーダーブレーキサポートII」から、昨今のスズキ車で積極的に採用している単眼カメラと赤外線レーザーレーダーを使った「デュアルセンサーブレーキサポート」に変更された。また、同時にブラインドスポットモニターやリアクロストラフィックアラートなども採用されている。, スズキ「エスクード」のACC(アダプティブクルーズコントロール)の操作は、ステアリング右側のスイッチで行う。「CRUISE」ボタンを押したのち、「SET」ボタンを押すことで、あらかじめ設定された車速の範囲内で前車を追従する。今回の一部改良によって、車速が40km/h以下になってもACCが解除にならず、0km/hで停止するまで前車を追従し続けるようになった, さらに、実際に試乗して一番感動したのがACC(アダプティブクルーズコントロール)の追従走行機能が、従来の約40km/h以上から0km/h以上へと拡大したことだろう。いわゆる「全車速対応」に該当するものだが、この手のACCは減速時の停止前にシステムがキャンセルになってしまい、最後は自分でブレーキを踏まなければならないモデルがまだまだある。クルマの運転は個人の責任であるから、その部分に異を唱えるつもりはないが、自動車専用道路などの渋滞時には、この自動追従機能が疲労軽減に寄与する。, とはいえ、最新モデルに比べるとEPB(電動パーキングブレーキ)やオートホールド機能は搭載していないので、追従走行時に前走車が停止した場合は2秒までしか停止保持できない。それでも、改良前のシステムが前走車の動きに対してやや過敏に加減速を行うのに対して、新型エスクードでは車間保持の維持もスムーズな動きになったこともわかる。高速道路などを走行する人には“ありがたい進化”と言えるだろう。, エスクードの価格は、265万8,960円。前述したように輸入車であり、無駄なコストを抑えるためにも、グレードを多く設定するよりエスクードのようにモノグレードにしたほうが効率はいいはずだ。またエスクードは、グローバルでは「ビターラ」という車名で販売されているが、実は欧州ではよく売れている。つまり、日本への割り当てはそれほど多くはないのが現実だが、それゆえに今回の大改良とも言える内容は、日本市場での販売強化を狙っているからなのだろう。, 試乗車は、前述した2トーンボディカラーだったが、これはメーカーオプションでプラス7万2,000円となる。これにカーナビ&ETC、フロアマットなどのベーシックアイテムを足せばフル装備となる。, 言いたいのは、バラバラと設定されたメーカーオプションを装着していくと車両本体価格だけでそれなりに跳ね上がってしまうのに対し、エスクードの場合は初めから「ほぼ全部入り」であるということだ。特に、先進安全装備を他社のように部分的なオプションにせず、この価格にまとめたのは魅力的だ。さらにプラスαの情報だが、前席にはシートヒーターだって標準装備している。, 昨今のこのクラスのSUVは、トヨタ「C-HR」、日産「ジューク」、ホンダ「ヴェゼル」、マツダ「CX-3」、三菱「RVR」スバル「XV」、そして輸入車でもプジョー「2008」やルノー「キャプチャー」など選択肢が拡がっている。その中で、装備の内容や価格などを比べるとエスクードは非常にハイバリュー(高い価値)を持っていることがわかる。, また、なかには「後付けのカーナビなどは別料金じゃないか」という声もあるだろうが、それこそ価格.comを見て安くて使えるカーナビやETCを選んだほうがよっぽど賢い買い方ができる。個人的には、最近人気のスマホを接続して「Apple CarPlay」や「Android Auto」が使えるいわゆる「ディスプレイオーディオ」を装着すると、さらに予算を抑えることができるのでオススメだ。, 正直、営業上の規模なども考えるとエスクードの販売台数は上位に来ることは考えにくい。しかし、コスパの高さ、走り、そしてオマケ程度だが「輸入車である」という点にこだわりが持てるのであれば、隠れた“無印良品”のようなクルマなのかもしれない。まさに通好みの1台として所有する歓びも出てくると思う。, ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ会員/20-21日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。1959年生まれ。リクルートで中古車情報誌「カーセンサー」の新車&カーAV記事を担当しフリーランスへ。ITSや先進技術、そしてカーナビ伝道師として純正/市販/スマホアプリなどを日々テストし布教(普及)活動を続ける。, ※情報の取り扱いには十分に注意し、確認した上で掲載しておりますが、その正確性、妥当性、適法性、目的適合性等いかなる保証もいたしません。

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